もの忘れ外来

もの忘れ外来について

年齢を重ねると、「最近同じことを何度も聞いてしまう」「約束の日時を忘れる」「財布や鍵を置いた場所がわからなくなる」といった“もの忘れ”が増えることがあります。加齢による変化であることも多い一方で、アルツハイマー型認知症をはじめとした認知症の初期症状である場合もあります。

認知症は早期発見・早期対応により進行を遅らせ、生活の質を保ちやすくなることが知られています。当院では、こうした不安に寄り添い、専門的な診断と治療を行うため「もの忘れ外来」を設けています。

専門医による精度の高い診断

当院のもの忘れ外来は、日本認知症学会専門医・指導医の資格を持つ医師が担当します。アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症など、疾患ごとの特徴を踏まえた丁寧な鑑別診断を行っています。

初診では症状の経過や生活での困りごとを詳しく伺い、標準化された認知機能検査や身体診察を組み合わせ、個々の状況を総合的に評価します。

言語聴覚士による認知機能検査(予約制)

当院では、言語聴覚士(ST)による専門的な認知機能検査を予約制で実施しています。検査は約30分前後で、認知症診療に経験豊富な言語聴覚士が、注意・記憶・言語・遂行機能などを多角的に評価します。

結果に基づき、認知リハビリテーションや生活での工夫に関するアドバイスを受けることができ、診断だけでなく日常生活の改善にも役立ちます。医師の診断とSTによる専門的評価を組み合わせることで、より精度の高い診療体制を整えています。

MRI検査を迅速に実施

認知症では、脳の萎縮や血管性変化の有無を把握するため画像検査が重要です。当院は近隣病院と連携し、スムーズにMRI検査を受けていただける仕組みを整えています。

紹介状の作成や予約の調整は当院で行い、検査結果は当院で医師が丁寧に説明します。

新しい治療「レケンビ(レカネマブ)」への対応

アルツハイマー型認知症およびMCI(軽度認知障害)に対する新しい治療薬レケンビの登場により、認知症診療は新たな段階に進んでいます。

当院では、レケンビの適応が考えられる患者さんに対して、必要な評価を行い、大学病院へ適切に紹介できる体制を整えています。レケンビ治療に必要な高度な検査(アミロイドPETや詳細画像評価など)は大学病院と連携しながら進めていきます。当院は、治療適応判断から治療前後のフォローまで一貫してサポートします。

周辺症状(BPSD)への対応も豊富

認知症では、物忘れ以外に不眠・不安・抑うつ・幻覚・妄想・興奮・徘徊などの周辺症状(BPSD)が現れることがあります。これらの症状は生活や介護に大きな影響を与えるため、適切な対応が不可欠です。

当院では、薬物療法と非薬物療法の両面から症状を改善するための支援を行い、ご家族への助言も丁寧に行っています。「急に怒りっぽくなった」「物盗られ妄想が強く困っている」など、どのようなことでもご相談ください。

診療の流れ

初診・問診

症状の変化、生活上の困りごと、既往歴などを詳しく伺います。ご家族の同席をおすすめします。

② 認知機能検査

医師による検査に加え、必要に応じて言語聴覚士の予約検査をご案内します。

③ 画像検査(MRI)

連携病院でのMRI検査を速やかに予約し、結果は当院で説明します。

④ 診断および治療方針の説明

病気の特徴や今後の見通し、治療・生活支援の方法をわかりやすく説明します。

⑤ 治療・支援の開始

内服治療、生活アドバイス、介護サービスの調整、レケンビ治療の紹介、STによる評価後のリハビリ指導など、個別に合わせたケアを行います。

ご家族へのサポート

認知症は患者さんだけでなく、ご家族の負担も大きい疾病です。当院では介護者の相談にも丁寧に対応し、地域包括支援センターとの連携やサービス利用のアドバイスなど幅広く支援します。

もの忘れでお悩みの方へ

もの忘れは年齢の影響と思い込んでしまいがちですが、早期に状態を把握することがその後の生活を大きく左右します。

当院では専門医と経験豊富な言語聴覚士が協力し、患者さんとご家族が安心して過ごせるよう全力でサポートしています。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。


診療内容一覧